<糸の太さ(糸径)に関する疑問解決シリーズ 第3回>
糸の太さ(糸径)に関する疑問解決シリーズ第3回は、PEラインについてです。
「PEラインの号数の表示は糸径ではない」ことはご存じでしょうか。
今回は、以下4つの項目に着目していきます。
1.糸の構造について知る
「モノフィラメントとマルチフィラメントの違い」
単線とも言われるモノフィラメントとは、1本の糸からなるもの
マルチフィラメントとは、複数の糸によって構成されている糸のことです。
ナイロン、フロロカーボンに代表される糸はモノフィラメント、一方PEラインは、マルチフィラメントです。
余談ですが、この糸は何本編みなのかを知りたいとき、PEラインの糸端を、丁寧にほぐしてみて下さい。
すると写真のように何本で編まれているのかがわかります。
2.デニール・デシテックスとは?
デニールは、9000m当たりの重さを指します。9000mで1gであれば1デニール、50gなら50デニール、デニール数が多いほど糸は太くなります。
最近では国際標準化機構(ISO)規格に準じてdtex(デシテックス)が採用される場合も多く、
1dtexは10000mで1gを表し、デニール同様に数が多いほど糸は太くなります。
釣り糸としてのPEラインは、平成22年に日本釣用品工業会で規格が決められています。
http://www.jaftma.or.jp/standard/pdf/pe.pdf
3.糸径との違い
PEラインは、糸の太さを計測するのではなく、長さあたりの重さによって号数が決まるため、実際の糸径は商品によって違いが出ます。
同じ糸を使って組み上げられたPEラインでも、ゆるく編まれたものでは、糸径は細く、きつく編まれたものでは糸径は太くなります。
また、風合いも変わってきます。ゆるく編まれたものは、でこぼこやざらざら感がありますが、きつく編まれたものは、なめらかでつるつるした仕上がりになっています。
一般的に、ゆるく編まれたものは空気抵抗や水中抵抗は少ないがコスレに弱く、きつく編まれたものでは抵抗は大きいがコスレには強いといった特徴があります。
ナイロンやフロロカーボンの規格と同様、PEラインの規格にも許容範囲があります。たとえば0.4号の80デニールと0.5号の100デニールでは20デニールの許容差があるため、同じ0.4号でも限りなく80デニールに近いものと限りなく100デニールに近いもののどちらも0.4号と表記されます。
これらを踏まえて考えてみると、リールへの糸巻量の表示は、あくまでも参考値であることを知っておきたいですね。
4.PEラインと異なる素材「ポリアリレート」の表示はどうなるのか?
141シンカーシリーズに使われている素材「ポリアリレート繊維」。
PEラインが比重0.97に対し、ポリアリレートは比重1.41。
比重を考えると、同じ長さの時、PEラインよりもポリアリレートの方が重くなるため、PEラインの規格に合わせると、太いサイズになってしまい、糸の太さに大きく差が出てしまいます。
これでは、PEライン同様に使うことが出来ないため、フジノラインでは独自に比重換算し、PEラインに近い太さになるよう設定しています。
例えば、PEラインの0.2号は40デニール以上~50デニール未満。
「141シンカーアジング」の0.2号は65デニール相当(端数切上げ)なので、比重換算するとPEラインの45デニール相当になる計算です。このように合わせていくことで、同じ号数を使い比べた時に糸の太さに差が出ない様な設定を行っています。
今回の解説はここまでです。
シリーズ最終回は、鮎釣り用の金属糸・複合メタル糸について解説致します。